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2017年4月 5日 (水)

稲士別駅の話とその周辺

 今年3月のダイヤ改正は、特に目玉となるような大きなトピックスのない、やや地味な印象のダイヤ改正となりましたが、北海道については特急の運転区間の分割や、利用客の少ない駅の廃止など、前年に続いて縮小色の目立つ改正となっています。

 廃止対象となった駅は、前年の8駅を上回る10駅となりました。その間に、留萌本線の一部廃止による駅の廃止もありましたので、僅か1年の間に26駅が廃止になっています。今回廃止になった駅は函館本線で5駅、千歳線で1駅、根室本線で3駅、釧網本線で1駅です。千歳線の美々駅はICカード対応の改札口のある駅では初めての廃止になったことが話題となりました。今回廃止になった駅の中で、稲士別、上厚内、五十石の各駅を、廃止の近い2月に訪問してきました。その模様は、「鉄の草枕」の「駅の旅」のコーナーの、「北海道の駅その28」に掲載しています。

 さて、訪問してきた内の一つ、稲士別駅については、駅の周囲には人家が結構あり、駅に接する道路の交通量も少なくないのですが、駅の利用客は1日1人以下だったということで廃止対象になってしまいました。もっともこの駅は、元は国鉄時代の管理局設置の仮乗降場で、全国版の時刻表は元より、道内時刻表にも掲載されていなかったという、元々影の薄い駅ではありました。

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 稲士別駅の歴史を調べると、元は中間線路班だったことがわかります。線路班とは保線のための組織で、通常は駅に設置されるのですが、駅間が長い場合などには駅と駅の中間に設置されることがあり、その場合中間線路班といいます。線路班には詰所の他に必要な用具、材料を設置していましたが、官舎を設置して職員、家族が居住している場合も少なくなかったようです。稲士別の場合も官舎が設置されていて、道を挟んで建っているアパートは元官舎だったということです。写真の、駅名標左の警報機の陰に見える白い建物がそれです。

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 稲士別線路班が設置されたのは昭和23年の事だと言います。当時は交通事情が極めて劣悪だったため、官舎に居住する職員とその家族の便宜を図るために、列車を停めて乗降させていたといいます。そこから、周辺住民の利用も認めるようになって、昭和34年に仮乗降場になったようです。同様に線路班から仮乗降場になって、道内時刻表に掲載されていなかったものとして、胆振線の尾路園、地北線、後のちほく高原鉄道の大森、笹森が上げられます。そうしてみると、線路班から仮乗降場になった場合に、道内時刻表に掲載されなかったのかとも思いますが、士幌線の新士幌や、白糠線の共栄は道内時刻表に掲載されていませんでしたが、線路班が起源ではないようです。

 一方、同じ線路班起源でも、『北の保線』(太田幸夫著, 交通新聞社新書, 2011)に掲載の旅客列車が停車していた線路班のその後を見ると、歌志内線の焼山は昭和36年に線路班から駅になっています。室蘭本線の富浦も昭和28年に駅になっています。宗谷本線の北永山と初野、地北線の様舞は仮乗降場を経て昭和34年には駅になっています。深名線の円山は昭和30年に仮乗降場になっていますが、これは道内時刻表に掲載されています。地北線の北光社も昭和23年に仮乗降場になっていますが、道内時刻表掲載です。石北本線の生野は昭和21年に、下相ノ内は昭和25年に、鳥ノ沢は昭和23年に仮乗降場になっていて、道内時刻表掲載です。駅になった所はともかく、仮乗降場になった所でも道内時刻表に掲載されているものもあって、どうもそう単純なものではないようです。

 もしかすると鉄道管理局によって扱いが違っていたのかもしれません。道内時刻表に掲載されていた円山、北光社、生野、下相ノ内、鳥ノ沢は旭川鉄道管理局ですが、尾路園は札幌鉄道管理局(北海道総局)、稲士別、大森、笹森は釧路鉄道管理局です。旭川鉄道管理局は、仮乗降場の設置に積極的でしたから、線路班起源の仮乗降場についても扱いが違っていたのかもしれません。確かなことはわかりませんが。

 線路班起源ではないのに道内時刻表に掲載されていなかった新士幌、共栄については、設置時期が遅いことの影響があるかもしれません。ほとんどの仮乗降場が昭和30年代までに設置されているのに対して、新士幌は昭和41年、共栄は昭和49年の設置です。もっとも、道内時刻表に掲載されていた名寄本線の北湧は昭和41年、釧網本線の桂台は昭和42年の設置です。ただし、この2駅は旭川鉄道管理局の管内なので、そのせいで扱いが違うのかもしれません。ただし、もっと新しい昭和52年設置の日高本線の東町と昭和55年設置の幌内線の栄町は札幌鉄道管理局の管轄です。時代によっていろいろと扱いが変わって行ったのかもしれません。

 

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