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2010年4月11日 (日)

乗客の減少著しいローカル線

 少し前に出た「週刊東洋経済」の4/3号では、「鉄道新世紀」という特集が組まれていました。その記事の中に、JR全路線(第三セクター、および主な民鉄線も)の2007年の平均通過数量(=輸送密度)が掲載されていました。

 かつて特定地方交通線の廃止が行われた際、輸送密度が最大の基準になりました。しかしJRになってからは例外的な場合を除いては輸送密度が公表されることはありませんでした。感覚的には地方路線では相当乗客が減少しており、路線によってはかつての特定地方交通線の廃止基準を下回るまでに乗客数が低下しているのではないかと予想されていましたが、実態を知ることはできませんでした。それが今回明らかになったわけです。

 さて、乗客減少率1位とされたのは、JR西日本の大糸線(南小谷-糸魚川)で輸送密度1171(86年)から165(07年)へ実に85.9%の減少でした。この輸送密度165というのは、盲腸線以外で唯一第一次廃止対象となった添田線の当時の輸送密度212を下回っています。なお、特定地方交通線(廃止対象線)選定の基準となったのは77年から79年の3年間の平均の輸送密度ですが、大糸線は全線(松本-糸魚川)で計算されており、5910でした。

 減少率2位とされたのは岩泉線で、295から58へ80.3%の減少でした。元々岩泉線は廃止多少路線でしたが、代替バスを走らせるのに必要な並行道路がないということで存続した路線ですが、この輸送密度58というのは、日本一の赤字線と言われた美幸線の当時の輸送密度82を下回っています。

 一方増加率1位とされたのは可部線で、2743から18166へ6.6倍の増加でした。しかしこれはちょっと問題ありで、輸送密度の低かった可部-三段峡間を廃止したことで計算上の数字が変わったものだからです。実態はちょっとわかりません。

 増加率2位とされたのは京葉線で、28077から159960へ5.7倍の増加でしたが、これも問題ありです。京葉線は比較の基準になっている86年の開業で、開業当時は西船橋-千葉港間の運転で、現在とは比較になりません。

 増加率3位で路線の変化のない福知山線が登場します。12630から40550へ3.2倍の増加で、JR西日本がいかに乗客を増加させたかが良くわかります。

 さて、地方路線はどこも大幅に乗客を減らしていますが、特定地方交通線廃止の基準となった輸送密度2000未満に低下した路線はどのくらいあるのでしょう。北海道では石北本線が3695(77‐79年)から2391(86年)、1288(07年)と減らしています。宗谷本線も2487→1323→888と減少し、富良野線も3390→2156→1335と減少しています。JR東日本で2000を割り込んだのは、石巻線、大船渡線、釜石線、鹿島線、烏山線、北上線、久留里線、小海線、五能線、八戸線、花輪線、磐越東線、山田線、米坂線、陸羽西線、陸羽東線と16線にも及んでいます。JR東海は参宮線の1線です。JR西日本では、小野田線、小浜線、岩徳線、姫新線、芸備線、美祢線、山口線の7線です。美祢線に至っては、貨物輸送が多く幹線系線区に区分されているのに、貨物は激減し、旅客輸送密度も1000を切りました。JR四国は鳴門線、牟岐線の2線です。JR九州では吉都線、後藤寺線、日南線、肥薩線、日田彦山線、三角線の6線です。これをかつての基準に従ってばっさりやったら大変なことになりますが、JR西日本が赤字ローカル線を維持できないというのも仕方がない気がします。なお、上記には当時輸送密度2000を切っていながら、輸送密度1000以上、かつ平均乗車距離が30km以上の基準で除外された線は含めていませんが、これらの中で輸送密度が1000を割り込んで、当時の廃止対象に該当している路線も相当あります。

 一覧を見ていると暗澹とした気分になってきます。さすがにここまで落ち込んでいると手の施しようがないような気がしてきます。もちろん、甘木鉄道のように、輸送密度653(77‐79年)から1614(07年)と大幅に乗客を増やして、ほぼトントンの経営をしている鉄道もありますから、単に現在の輸送密度が低いから絶望だとは言えません。香椎線のように68年の赤字83線廃止の対象に挙げられながら(廃止対象は香椎-宇美間)、07年の輸送密度が5674と激増している路線もあります。しかし多くの地方路線は過疎化、少子化(通学生減少)、自動車交通への移行とトリプルパンチに見舞われていて、極めて難しい環境にあるのも事実です。結局沿線人口が増加しないと、どうにもならないのかなと思い、支えきれなくなった会社から、ローカル線廃止が進んでしまうのかと思ってしまいます。

 なお、参照した「週刊東洋経済」4/3号は、多分既に書店の店頭にはありませんが、出版社に問い合わせれば入手可能と思いますので、気になる方はどうぞ。

 

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日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

可部線の電化区間ですが、あそこは確か1985年くらいまでは1時間に1本程度しか運行されていませんでしたよね。それが1986年頃に30分に1本くらいになって、1987年頃に20分に1本になったと記憶しています。正確な本数は昔の時刻表を見ていただければ分かると思います。時期的には、ちょうど第二次ベビーブーム世代が小中高生だった頃です。通学生が非常に多かった時代です。

当時の地元紙の特集記事によると、20分に1本までの増発が可能になったのは、国鉄末期の設備投資大盤振る舞いによって中島駅付近に変電所が新設されたからだそうで、それまでは横川からの片側送電による電圧降下のため、線内の複数の電車が同時に発車出来なかったり(発進時に電力を多く消費するため)、冷房車の投入が不可能だったそうです。家庭で言うところのブレーカーが落ちる状態になっていたわけですね。線内の電車の発車時刻を微妙にずらしたり色んな苦労があったそうです。

投稿: 牡丹鍋 | 2010年4月17日 (土) 13時16分

牡丹鍋さん、ご来訪ならびにコメントありがとうございます。
なるほど、可部線の場合は乗客の少なかった区間を廃止したことに加えて、電化区間の運転本数増に伴う乗客の増加が効いていたのですね。そんなに乗客が増えていたなら、非電化の一駅区間を電化して存続してい欲しいという地元の訴えに応えても良かったのではないかと思いますが、そこまでするほどの乗客は見込めなかったのでしょうか。
しかし国鉄末期の投資はずいぶんいろいろ行われていたのですね。赤字確実の三島会社に新車を投入しただけだと思っていました。

投稿: 鉄枕 | 2010年4月27日 (火) 00時20分

茨城県のJR線だと常磐線土浦以南は2005年のつくばエクスプレス開通により減ったと思います。同県内には地方交通線は水郡線と鹿島線がありますが水郡線は非電化で鹿島線は電化されています。でも水郡線の方が客が多いと思います。水戸駅では同じ時間に常磐線と水郡線が並んでいても常磐線は立ち客なしで水郡線は立ち客だらけのときがあります。鹿島線が電化しているのは貨物列車が走るからだと思います。鹿島線は早朝、昼間、夜間は2両ワンマンでいいと思います。

投稿: | 2015年5月28日 (木) 20時52分

コメントありがとうございます。返信が遅くなり失礼しました。
つくばエクスプレスの影響で、常磐線は減っていますか。関東鉄道が影響を受けるような話は聞いたことがありましたけれど。
鹿島線の乗客は減少しているのでしょうね。特急あやめも廃止になりましたし。電化されているのは、周辺が全て電化されていますから、ここだけ非電化にすると専用の車両を用意する必要が生じて非効率だからで、乗客の多寡とは直接関係ないのでしょうね。貨物輸送の都合もあるでしょうね。
なかなか、新しい書き込みもできていませんけれど、よろしければまたお気軽にコメントください。
 

投稿: 鉄枕 | 2015年6月 7日 (日) 21時26分

鹿島線は早朝、昼間、夜間は2両ワンマンでいいと思います。e127系2両で。今4両編成のため本数が少ないですが2両ワンマンなら本数が25本に出来るかも。

投稿: | 2015年8月16日 (日) 10時39分

 コメントありがとうございます。
 乗客数からすると2両編成でも足りるのかもしれませんが、鹿島線だけ専用の電車を用意するとなると効率が良くないでしょうね。それに、周辺地域は他線区で使用されていた車両を改造して使用していますから、編成を短くするためとはいえ、新車の投入は期待しにくいところです。
 また、車両を短編成化しても、乗務員の確保が難しいので、運転本数を増やすのは難しそうです。乗客が増えればいいのですが、特急が廃止になってしまったほどの現状では、期待薄ですね。乗客が減るから本数が減って不便になるのか、不便になるから乗客が減るのか、昔からよく言われることですが、どうにかならないものかと思います。
 

投稿: 鉄枕 | 2015年8月16日 (日) 13時57分

鹿島線は1日の本数は4両編成で16本しかないが同じ茨城県にある水郡線だと水戸~上菅谷28本、上菅谷~常陸大宮20本、常陸大宮~常陸大子15本、上菅谷~常陸太田16本ありますが水郡線の場合は非電化で気動車でワンマン運転がありワンマンは茨城県内は2両、車掌乗務は2、3、4両あります。水郡線の水戸~上菅谷が28本あるのは本線と常陸太田支線両方に行く列車があるためかな。

投稿: | 2015年8月16日 (日) 23時45分

 コメントありがとうございます。

 水郡線は水戸につながっていますから、沿線に住宅地が広がって、通勤、通学需要が高いのでしょうね。
 鹿島線は沿線に大きな町がないので、そういう需要がないのでしょうね。
 大洗鹿島線も水戸近郊は運転本数が多いですね。大洗鹿島線は元は鹿島線の延長として建設されていましたから、鹿島線の延長として開業していたら、水戸まで電化されるなど、状況はずいぶん違ったでしょうね。
 

投稿: 鉄枕 | 2015年9月 6日 (日) 13時28分

こんにちは。
可部線についてですが、統計で見るJR西日本2015によると、1987年の電化区間の輸送密度と比較してもおよそ1、7倍乗客が増えたそうです。
可部以南は都市化され、今年の3月には日中の電車が2両から4両に増やされました。
日中でも2両だと通勤電車が通路いっぱいまで混雑しています。

投稿: sennsannrailway | 2016年5月30日 (月) 16時55分

 sennsannrailwayさん、コメントありがとうございます。
 可部線は、日中の乗客も多くなっているのですね。
 確かに、JR西日本のサイトで公開されているデータによれば、可部線の輸送密度は1987年は11,361で、2014年は19,021となっていますね。その他、東洋経済オンラインに最近掲載された記事によれば、2008年は18,685、2013年は19,106となっています。実際に民営化後に、増発の効果でしょうか、乗客は大幅に増えているようですね。
 ただ、近年は乗客の増加も頭打ちになっているようですね。日中の車両増結による混雑緩和で少しは増えるのでしょうか。2017年に延伸されると、もう少し増えることになるのでしょうね。増発のための設備改善も考えられているようですので、更なる増発と乗客増もあるかもしれませんね。
 

投稿: 鉄枕 | 2016年6月 5日 (日) 18時19分

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